代表からのメッセージ
 

みなさま,「宇宙旅客輸送推進協議会」の発足に当たってご挨拶を申し上げます.

日本の宇宙開発は1950年代に学術研究の世界で宇宙空間への到達と観測のために始められ,その後国家の宇宙空間への打ち上げ自在性の確保のために発展し維持されてきました.我々の誇るべき先達のみなさんの努力によって,現在では日本の独自技術を使って自在な打ち上げシステムの構築と運用が出来る状況が作られました.さて次の展開はどうかというと,やはり国の仕事を超えて巨大なマーケットの創出が期待できる民間事業への転換が求められています.10年あるいは20年の時間スケールで世の中を前に進めることを意図して,宇宙空間へ人を輸送する仕事がより一般化し,産業として自立し,多くの人々が自在に宇宙に出かけたり,月や火星を含む宇宙空間を利用したり,安全にかつ高速に移動したりして,宇宙活動が飛躍的に拡大している世界を作ることを目指したいと思います.

この度,我が国の宇宙輸送の未来を切り拓くことを意図して,想いを同じくするみなさんと一般社団法人「宇宙旅客輸送推進協議会」を設立しました.この協議会は,従来の宇宙活動に比べて桁違いに大きなマーケットポテンシャルをもつ宇宙旅客輸送体系を実現し,現在の民間航空輸送のように,誰でも切符を買って宇宙に出かけたり地球上を自在に移動したりできるように一般化するために,民間主導の新しい枠組みを作るために設立するものです.本協議会は次頁の設立の趣旨に述べられているように,これまでの国中心の宇宙活動から転換して,有人宇宙輸送を民間が中心となって推進し,新たな民間実行事業体が生まれるための環境を整備することを目指しています.協議会は一般社団法人として設立され,会員の参加によって運営されます. この協議会の活動にご理解とご支援を頂ければ誠に幸甚に存じます.宇宙輸送と宇宙活動の新しい世界を拓くために,次の世代を担うみなさんがのびのびと活躍できる場を作って,世の中を前に進めたいと思います.よろしくお願い申し上げます.

令和3年6月
宇宙旅客輸送推進協議会代表理事
稲谷 芳文

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